いつものセレクトショップは安心か?

私が某有名セレクトショップで買ったシャツについて、失敗談とその考察です。

私の同世代でも「百貨店で買い物をしたことがない」という方が、けっこういらっしゃいます。

私の場合は、業界的に百貨店にも親しみがあることに加えて、特に最近はセールが常態化しているので比較的よく利用するほうだと思うのですが、もっとカジュアルな服装で働いていた時期には、やはり百貨店ではほとんど買わなかったと思います。

百貨店にテナントとして入っているショップは別として、百貨店がアイテム別などで編集している売場(=平場(ひらば)と呼ぶ)というのは、「百貨店」という使命感のため、あらゆるニーズに応えようとして、ターゲットの客層が絞り切れないことも多く、若者がほしいブランドとオジサンが安心するブランドとが混在していたりもします(もちろん、ターゲットを明確にして、展開ブランドや商品構成がよく考えらている百貨店もありますけれど)。

あらゆるものを売っていることを宿命づけられた「百貨店」に対して、「セレクトショップ」というのは、商品の絞り込みにこそ価値があるわけで、そこで売られる商品は「目利きのバイヤーが買い付けた、厳選されたブランドのイケてるデザインの商品ばかり(であるはず)」ということが宿命づけられています。
ですから、バイヤー並みに知識を身につけているわけではない、フツーに身なりに気を遣って、ファッションを楽しんでいる客層の多くは、セレクトショップで買うのが安心、と考えているようです。

しかし、ビジネスの装いに関しては、いつものセレクトショップであっても、少し事情が違うかもしれないので注意が必要です。

私が今日着ているシャツは、ある有名セレクトショップで買った、私にとってはじめてのダブルカフのシャツです(約2年ほど前)。

その買い物のときは、スーツを着たオシャレ坊主の店員さんに接客してもらって、スーツの上から下まで揃えたました。ですので、かなり大きな買い物をしたわけです。もちろん当時は満足して着ていたのですが、しばらくするとシャツの袖丈が短いことが気になりだしました(私は腕が長いのです)。

今にして思えば、そのセレクトショップの品揃えには、大きな問題がありました。
その店では(あるいはその店員さんだけかもしれませんが)、シャツのサイズを選ぶときに「首周り」だけ採寸して、それを基準に商品を棚からとり出していました。
私も当時は「既成のシャツなんだから、多少、サイズが合わないのは仕方ない。やっぱりオーダーシャツかなぁ」とも思っていたのです。しかし、それなりの百貨店の大きな売場やシャツ専門店に行けば、「首周り」のサイズが同じでも「袖丈」の違う2〜3のバリエーションが用意されていることが、むしろ普通なのです。
つまり、そのセレクトショップでは、おそらく展開スペースや在庫管理上の都合で、「首周り」を基準にしたサイズ展開しかしていなかったわけです。

ビジネススーツに関していえば、袖口において、シャツとジャケットの関係がどうあるべきか、というような厳格なルールがあります。一般のお客様は、そんなルールを勉強するのは面倒くさいと感じるかもしれませんし、店員はファッションとしてルールの破り方を研究しているかもしれません。

しかし、だからこそ、お客様がいちいち勉強しなくても、店員がまずは基本ルールに則ったアドバイスをする、ということを私は理想とします。しかし、残念ながら「いつものセレクトショップだから」といって安心はできないのが現実です。

もっとも、品揃えに関しては、現場の販売員の責任ではない場合もありますね。
その話題はまたいずれ。

GenRock店長でした。