男の「外見」コーチング(三好 凛佳 著)
先月のはじめ、「カフリンクスの会」でお会いしたパーソナルスタイリストのお二方の師匠にあたる方が、本を出されているというので、さっそく読んでみました。(さっそく読んだわりには紹介するのが遅い!)
著者の三好凛佳さんは、なにげにアメブロのひとだったりするので、その人となりやお仕事の内容について、詳しくはブログをごらんいただければと思います。
で、この本のミソは「著者が女性である」ところだと私は感じました。女性特有の感性…云々とか、腑抜けたことを言うつもりはありません。私が言いたいのは、女性であるが故に、メンズファッションに関する「こだわり」がないところが、とても良い結果につながっているということです。
メンズファッション本の陥りやすいワナとして、本切羽だのお台場仕立てだのとディテールに分け入り、メンズファッションの本場はイタリアだとか、いやいや英国紳士こそがお手本なのだといった趣味の世界にずっぽりとハマるというものがあります。確かにそういう話は興味深いものではありますが、取り組むべき課題は「私(読者)がいかにステキになれるか」であって、感性のズレを何が正統であるかを論じて修正しようというのはスジが悪いように思います。極論を言えば、好みの問題は解決しようがないわけで、例えば、白洲次郎や石津謙介に対して落合正勝が持論を披露してみることのむなしさを想像していただけるとよいでしょうか。
その点、三好凛佳さんは様々なスタイルに対して、ほんのちょっとした好み(美意識?)は入るとしても比較的公平な立場をとっており、とてもバランスがいいと感じます。いろんなことにこだわっちゃってる男性にはちょっと満足できない内容かもしれませんが、ふつうのメンズのふつうに好印象なスタイリングのガイドブックとしては、間違いなく現時点で最良の書といえるでしょう。
服もスーツスタイルだけにとどまらず、クールビズとしてのカジュアルな装いまでを含んでおり、靴や鞄や小物にまでバランスよく言及されています。
スーツスタイルに馴染みの薄かった就活生などにも、オススメできる内容です。
GenRock店長でした。