ラペルピンの使い方とその進化に関する考察(1)

$カフリンクスの日々〜実践!カフスのつけ方・使い方-現代的ラペルピンのつけ方
最近のメンズアクセサリーのなかで、「ラペルピン」は人気のアイテムのひとつです。
「ピンズ」や「ピンバッジ」などと呼ばれる、飾り部分の後ろに垂直に短い針が突き出ているタイプとは異なり、長い足のような針をもち、留め金(キャッチ)の部分も飾りの一部として使われることが特徴です。

広いカテゴリでは「ピンブローチ」と呼ばれるものです。用途によって、帽子につけるものを「ハットピン」、巻きスカートを留めるものを「キルトピン」と呼んだりしますが、構造的には違いがあるわけではありません。デザインとして、合うか、合わないかがあるだけです。アレンジは自由です。

さて、そのラペルピン。
原型は、次の写真のように使われていたと考えらます。
$カフリンクスの日々〜実践!カフスのつけ方・使い方-古典的ラペルピンの挿し方
左のラペルにあるボタン穴を「フラワーホール」と呼びます。
歴史的には詰襟の第一ボタンに対応するボタン穴ですが、後に花飾りを挿す用途で使われたことから「フラワーホール」と呼ばれるようになりました。ラペルの裏側に花の茎をとめるループやポケットのディティールをもつ場合もあり、「フラワーポケット」とも呼ぶようです。
つまり、ラペルピンは「花を模してつくられたアクセサリー」であり、その長いピンは表に出して見せるものではなく、「茎のアナロジー」として飾り(=花)の向きを保つ機能を担っていたと考えられます。

$カフリンクスの日々〜実践!カフスのつけ方・使い方-古典的ラペルピンのつけ方
表から見れば、ピンズ/ピンバッジとの違いはわかりませんが、この花は決してくるくる回ったりはしません。
例えば、ピンバッジ形式の社章などが逆さを向いたり、後ろに突き出た留め金でラペルを浮き上がらせたりするのに比べて、ピンブローチ形式のラペルピンのほうが機能的に優れていることは明らかです。

しかし、最近になってラペルピンの人気が出ているのは、機能性のためではありません。
GenRock店長は、誰かが新しい使い方を発明したのだと考えています。新しい使い方とは、つまり、フラワーホールを無視してラペルピンを挿す方法です。
(この方法について、初出を知っている方は情報をお寄せください。)

しかし、その使い方は上述のように紳士服の歴史を踏まえたものではなく、また、ことばで説明されたものでもなかったために、ラペルピンの使い方がわからない「ラペルピン難民」を多数生み出すことになったのだと思います。

では、新しく発明された、現代的なラペルピンの使い方とはどのような経緯で生み出されたものでしょうか?

続きは、また。

GenRock店長でした。


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