ラペルピンの使い方とその進化に関する考察(2)
この記事はラペルピンの使い方とその進化に関する考察(1)の続きです。
ピンズ/ピンバッジに代わって、ラペルピンが流行った背景には、スーツの襟型の変化が関係していると考えられます。
上襟と下襟(ラペル)とのつなぎ目、あるいは「く」の字型の凹みの部分を「ゴージ(gorge)」と呼びます。「峡谷」を意味する英語です。「ゴージ刻み」と呼んだりもします。
ジャケットの仕様で、ゴージの位置が高いことは「ハイゴージ」と呼ばれます。上の写真は、ハイゴージ&ナローラペル(襟幅が狭い)のスーツです(GenRock店長が3年前に着ていたものですが、いまは着ない感じですねー)。
このようなジャケットのフラワーホールの位置は、もはや「胸」というより「肩」の領域にあります。社章のように小さなものならともかく、ボリュームのある飾りをつける位置としては高すぎると感じられます。
ネクタイやポケットチーフとのつながりという観点でも、散漫な印象になります。
そこで注目されるのがラペルピンです。留め金を表に出すことで、重心が少し下がります。
さらに下げるとするなら、フラワーホールは無視してラペルピンを刺すことになります。
このようにして、ハイゴージのジャケットの流行とともに、フラワーホールの下にラペルピンを刺す方法が「発明」されたと考えられます。
位置の目安としては、胸ポケットとネクタイを2辺とする三角形の内側が、安定感があり落ち着きます。
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